コミュニティへの所属感は必要ない / 自分を大事にする生き方

12/9/2024

友達や家族を大事にし、うまく人と関わっていく協調性、幅広い人脈などが大切だという意見は、現在でも根強く存在しています。「仕事をする上では人脈が重要」「良い企業に就職するにはコネが必要」「チームで協調しながら活躍することが大事」という考えが、その趣旨を支えています。

一方で、「周りの目を気にせず自分の道を突き進むべきだ」と主張する意見も、SNSの普及に伴い広がりました。これらのメッセージに共感し、「自分もそうしたい」と感じる人がいる一方で、「自分には無理だ」と感じる人も増えています。そして、そのような意見を発信する人々の多くは、結局は自分自身の影響力と個性を中心としたコミュニティを形成しています。オンラインサロン、セミナー、オフ会など、形はさまざまですが、いずれも「コミュニティ」という枠組みに収束しているのです。

今回の記事では、「コミュニティ依存」への疑問を中心に、私自身の考えをお伝えします。私はコミュニティの必要性そのものを否定するわけではありません。しかし、現在のコミュニティ推奨のされ方が、多くの人を「似たりよったりな存在」へと収束させているのではないかと感じています。

 

 

人脈は必要なのか?

結論から言えば、人脈は確かに重要です。しかし、ほとんどの人が「人脈が必要な段階」に到達していないというのが私の主張です。

高校生までの人間関係は友達付き合いの側面が強く、ここでは大学生以降を対象に話を進めます。私の考えでは、効力を発揮する人脈は、自分と同じレベルの層でしか形成できません。非常に優れた成功者や偉大な先生と出会い、人生を変える経験をした人もいるでしょう。しかし、それは再現性が低く、ほとんどの人にとっては単なる憧れや羨望に終わります。

実際、自分と対等にコミュニケーションを取れる相手は、自分の実力や環境の範囲内に限られます。人脈を形成しても、その中で「うまくやる」だけに終始してしまう可能性が高いのです。むしろ、それによって視野が狭まり、自分を縛るコミュニティを自ら選んでしまうことすらあります。

 

コミュニティが真価を発揮する場面

一般的には、チームワークや人とのつながりが重視されることが多いです。学校教育でもディスカッションやグループワークが導入され、「多様な意見を持ち寄ることで新しいアイデアや結論が生まれる」という仮説が支持されています。この考え方自体は理想的で、多くの場面で有効でしょう。

 

例えば、デジタルアートで有名なチームラボは、多様な専門性を持つメンバー(数学者、エンジニア、UXデザイナーなど)が集まり、アイデアを持ち寄ることで多くの人を魅了する作品を生み出しています。しかし、これは理想的な例であり、誰もがこのような環境を構築できるわけではありません。

 

日本の教育を例に取ると、同じ科目を同じように勉強し、同じような目標を持つ中で競争をしています。そのため、当然の構図として多様性を欠いた集団が形成されることが多いです。「多様な意見をぶつけ合うことでいい意見が生まれる」という教育改革を主張する知識人の理想論は、現実の多くの場面では誇張されすぎていると感じます。

 

 

現在の自己啓発やインフルエンサーのコミュニティビジネスに対する批判

自己啓発は、「自分について考え、成長する」ことを目的とするものです。しかし、現状の多くの自己啓発活動は、情報発信だけに留まるか、有料のコミュニティビジネスに収束しているように見受けられます。これらのコミュニティは、参加者に「特別感」や「優越感」を一時的に与えることはできても、本質的な成長をもたらしているかどうかは疑問です。

もちろん、ビジネスとして利益を追求することは悪いことではありませんし、むしろ日本においてはビジネスへのネガティブな視点が問題だと考えています。しかし、こうしたコミュニティビジネスが「実際に人を変える」ことを目的としているのか、それとも単に「変わった気にさせる」だけなのかは慎重に見極める必要があります。少しでも経営の勉強をすれば、いかに現代においてコミュニティビジネスが最も収益を集めやすいビジネスの一つであるかがすぐにわかるでしょう。

 

私の経験から見えたこと

私は学校という場所が嫌いでした。中学、高校、大学と異なる理由で退学を選びましたが、共通して感じたのは「限られた価値観の中で個性を偽装するつまらなさ」でした。周囲に流されることなく自分の道を進みたいと考えましたが、当時の私は「居場所を失っただけ」でした。

その後、自分で考え、自分で学び、自分で行動する道を選びました。この過程で、「自己啓発の大人たち」の多くが、結局は自身の影響力を高めることを目的としていると気付きました。自己啓発書やコミュニティビジネスに参加しても、彼らの思考をインストールするだけで、本当に「自分の人生を生きる」ことにはならないと感じたのです。

 

簡単にいうと、自己啓発やコミュニティというのは、今までの場所から何か別の新しい場所に染まり直し、所属感を得るというだけです。

染まる先を変えたとしても、得られるのは自分は他の人とは違うんだという新たにインストールされた思い込みだけです。

 

コミュニティが全て悪いわけではありません。しかし、物事には順番があります。まずは個人が自分自身と向き合い、自分の独自性を発掘するプロセスが必要です。その上で自然発生的に形成されるコミュニティこそが、本当に意味のある場となるのです。

最初からコミュニティに所属することで得られるのは一時的な安心感に過ぎず、それでは本質的な成長は望めません。むしろ、独自性を持った個々人が集まることで初めて、コミュニティの力が最大限に発揮されると考えます。

 

 

なぜ、これほどまで自分の人生を生きることが難しいのか?

私はずっと疑問に思っていました。
これほど優秀な人たちが素晴らしい意見を発信し、それが誰でも見られる世の中になっているのに、なぜ多くの人の人生は変わらないのか?

この問いの答えとして浮かび上がるのは、情報発信とコミュニティ形成の限界です。この二つは人が成長するための重要な要素であるはずなのに、多くの場合、それを受け取ったりコミュニティに参加した人が本質的に成長するのではなく、単にビジネスの養分となってしまっている現実があります。

特に、SNSで情報発信をして知名度を上げ、その後にコミュニティビジネスを展開するという、現代ビジネスの黄金ルートは、多くの弊害を生み出していると感じます。

 

自分で考え、成長するために必要なこと

私は「どこかに染まるのではなく、自分で考えて成長しよう」と思いながら試行錯誤を続けてきました。その過程で、成長のために重要だと感じた点を以下にまとめます。

  1. 自分と向き合う時間を確保し、考える刺激を受けること
    他者に頼るのではなく、本気で自分と向き合う時間を持つことが、成長の第一歩です。
  2. カテゴライズに頼らないこと
    性格診断や分類に安心するのではなく、「自分とは何か」を常に疑問視し続ける姿勢が大切です。
  3. 新しい視点に触れること
    自分の枠を超えた刺激や視点を得ることで、新たな可能性が見えてきます。
  4. 行動計画を立て、試行錯誤を繰り返すこと
    計画を立て、実際に行動に移し、その結果を振り返るサイクルが重要です。

これらは一見当たり前の行動に思えますが、実際にこれを続けるのは簡単なことではありません。それを支援する情報やコミュニティも多く存在しますが、結局それらは「自分のため」ではなく、「提供者のビジネスのため」であることが少なくありません。

 

AIを活用した新しい成長の形

とにかく自分で考え、自分で行動する。これができそうで難しかったことが、AIの登場によって誰にでも可能になったと私は考えています。なぜなら、AIはインフルエンサーのような「この指とまれ」型のアプローチではなく、個人に特化した分析とアドバイスを提供できるからです。

例えば、ChatGPTのような生成AIは、次のような悩みを抱える人たちにとって非常に役立つツールとなり得ます。

  • 自己分析をするのが大変だし、シンプルに思いつかない
  • 成長したいが、現状を変える方法も進むべき方向もわからない
  • 結局、継続できない

多くの人が感じていることだと思いますが、AIが私たちにとって「成長のきっかけ」と「パーソナライズされたサポート」を与えてくれることは間違えありません。

AIは、その人自身に合った計画や意見を提示し、自分のペースで進めることを助けてくれます。

 

私の取り組み

私はAIという技術そのものにこだわりがあるわけではありません。大切なのは、「一人一人が成長するために本当に必要なものは何か」を問い続けることだと考えています。

学校を辞めて一人で成長を志すようになってから、今の自分にとって本当に必要なものが世の中に存在しないと感じ続けてきました。今でもその感覚は変わりません。しかし、それを変える手段として、AIが非常に役に立つと確信しています。誰でも簡単に使えて、その人らしい成長をサポートできるツールを作るために、私はテクノロジーやプログラミングの勉強を始めました。

よくあるエンジニアが技術があるから作ってみた、というものではありません。

現在、そのアイデアを形にするためのプロトタイプ(試作品)を開発しています。完成に近づき次第、一度公開し、多くのフィードバックをいただきたいと考えています。その意見を反映させることで、さらに役に立つツールに進化させたいと思っています。

 

まとめ

今回の記事で伝えたかったのは以下の二点です。

1. インフルエンサーや自己啓発に多い情報発信とコミュニティの形成は、ただのビジネスであり、その中心にいる人の思考をインストールするだけのものである。

2. 本当に人が独自性を持って成長するためには、まずは個人にフォーカスする必要がある

AIの活用により、勇気と意志が強い人だけが変われる世界ではなく、誰でも自ら考え、行動できる環境を作れるようになると信じています。それが私の目指す「Origin of Originals」のビジョンです。プロトタイプ(試作品)完成時にはぜひフィードバックをいただければと思います。

他の記事では、教育改革や不登校についても私自身の経験をもとに考察しています。興味を持たれた方は、ぜひご覧ください。